「文系で大学院進学はありですか?」
高校生にしては(当たり前だけど)珍しい質問があった。
「研究者志望であれば、あり、というよりも必須。それ以外であれば、時間と学費が
多く掛かるし、就職が遅れるため生涯賃金も減る。就職は不利にはなっても有利になる
ことは滅多にない。これといったメリットは無いので止めておく方が良い。一旦就職
して、どうしても進学したくなったらその時に考えれば良いのでは?」そう答えた。
文系の大学院の存在意義は、研究者志望以外は、就職できなかった(今年以降はこれが
多くなるだろう)、資格試験浪人、フリーターは嫌だけどどうしたら良いか
わからない、何となく、などを収容(というか社会から隔離)しておくための施設
(というか収容所)と考えて差支えはない。
研究者志望で博士号を取っても(ほとんどが満期退学だけど)、教員職に就けても
任期付き、再就職が困難になる30台半ばでも情け容赦なく雇い止めになる可能性が
十分にある、茨と地雷が広大に所狭しと敷き詰められている世界を歩くことになる
(歩く前に○んでしまうこともあるけれど)。
コロナ不況で「とりあえず大学院」は増えるだろう。
そこで「文系の大学院生をもっと積極的に採用しろ」と院生は思うかもしれない。
しかし、人事採用担当者の立場で考えてみれば、実用性の乏しい趣味みたいな研究
(と言えるのかかなり怪しい)をして年を取った、使いにくい院卒を無理してまで
採用する必要はないだろう(会社によっては学部卒よりも多く給料を払わなければ
いけないし)。
どうしても就職ができなくて、在籍料が安いのであれば、留年を検討することも
ひとつだ。