高校生と個別相談をしていると、「大学では、英語だけでなくドイツ語やフランス語
なども勉強するみたいですが、おすすめの外国語はありますか?」と聞かれた。
「好きな言語で良い」と答えたけれど、研究者を目指している高校生にはそれだけでは
不十分だし、少々雑だと思う。
例えば、法学の研究者を目指しているのであればドイツ語だろうし政治学であれば
フランス語が一般的だろう。
日本法はドイツ法を母法としているし、フランス語はかつての国際語だからだ
そうは言っても、フランス法や英米法などの影響も強く受けているし、近代では
イギリスやアメリカが大きな力をもった。
そのため、絶対の答えはもちろんない。
ちなみに、私は大学院で法学を専攻したけれど中国語だった、それも4単位。
専攻が国際関係学だったので、やたらと英語の講義が多かったから中国語まで
手が回らなかったのだ(言い訳)。
しかし、不便はまったくと言っていいほどなかった。
ぶっちゃけ、英語ができれば研究にそれほど不便はないのが実情だ。
それは、工学や医学などでも同じだろう。
今どきの医師がドイツ語で(電子)カルテに書くか?
批判を恐れずに書くと、中途半端にドイツ語やフランス語を齧るのであれば、徹底して
英語を磨いた方が良いのだ(もちろんできるに越したことはない)。
大学院では、英語の文献を読むのは普通で、論文への引用でも必要になることが
多くある。
つまり、英語ができないということは「研究に支障が生じる場合がある」ということ
であり、大学院入試(院試)の合格は難しく、合格できたとしても厳しい研究生活に
なる(落ちこぼれる)ことを覚悟しておく必要があることを暗に意味していると
言える。
指導教授からすれば、英語の能力が乏しい大学院生への指導には不安がある。
「義務教育から英語は勉強しているんだから、専門科目の指導だけでも大変なのに、
英語まで教えていられないよ」となるのだ。
自動車学校でも、教官は運転の仕方は教えるけれど、「赤信号は『あかしんごう』と
読むんだよ」ということまでは教えてくれないでしょう?