高校に入学したと思ったら、秋にはもう文理選択です。
私も、文理選択の考え方といった講演をしますが、正直、何とも歯痒いというか、
矛盾した気持ちになります(高校生の皆さんごめんなさい)。
最近は、文系なのか理系なのか判らない、文理融合型の専攻が増えています。
将来の進路の見通しなどについても言及しますが、私自身がカオス状態です。
寿命が短い時代ならいざ知らず、16歳くらいで文系か理系かを決めるのは無理が
あります。
ところで、昔々、私が中学3年生だったとき、母親に「普通科に行きなさい」と
だけは言われた記憶があります。
理由は、「大まかであっても中学生で進路を決めるのは早いから」とのこと。
工業科や商業科を否定するつもりはありませんし、本人の希望や家庭の事情なども
あるため、もちろん正解はありません。
将来の希望は、建築家であれ、文学者であれ、まずは、教養学部教養学科に全員入学
させて、3年生くらいから専攻が始まるようにすれば良いのではないか?
もちろん4年間教養学科も良いだろう。
それが大雑把過ぎるというのであれば、教養学科を、自然科学科、人文科学科、
社会科学科に分けて、「あそび」というか柔軟性をもたせるのもひとつだ。
大学の事情でそれが無理であれば、近隣の他大学や放送大学などの通信教育を利用
できるようにすれば解決できます。
東京大学には「進振り」がありますが、なかなか合理的だと思います。
教養学科のままで卒業したけれど、数年働いてみて、法学を研究したくなったから、
大学院の法学研究科に進学というのもありではないか?
この複雑化した時代に、高校1年生で「さあ、文系か理系か決めなさい」は、
はっきり言って無理があります。
奨学金の個別相談をしていても、「やっぱり文系にすれば良かった」「やっぱり理系
にすれば良かった」と言う高校3年生を毎年必ずといっていいくらい見かけるから
です。