高校の先生が保護者に聞けないこと

入学の辞退の理由に、「入学費が用意できなかった」というものがあります。

しかし、「入学費の用意は出来ていますか?」と聞くことが、憚られる、不躾では

ないかと仰る高校の先生がよくいらっしゃいます。

指定校推薦で辞退をすると、後輩に大きな迷惑を掛けることになります。

奨学金は入学後に振り込まれるため、入学費が無い、足りない場合は、国の教育

ローンなどの利用を検討することになりますが、必要時期の2~3か月前までには

申し込んでおくことが求められます。

奨学金での大学の差別化は難しい

各大学では、競うようにして奨学金を新設しています。

しかし、奨学金で差別化を図ろうとしても、結局は「価格競争」になり、

財務が悪化しては元も子もありません。

ところで、学校独自の奨学金についての相談もありますが、
「卒業までの学費や生活費を確保できるのか」といったことを心配されて
いる保護者が多くいます。

4年先どころか、1年先もわからない時代です。

「目先の奨学金よりも、卒業までの安心を提供する」ことが大学には
求められていると感じています。

ハイブリッド大学?

奨学金への批判はあっても、「なぜ学費がこんなに高いのか」という議論は、

なぜかあまり聞きません。

ご存知のとおり、高いから教育環境が良いとは限りません。

私自身、通学と通信の両方を経験しましたが、分野によっては、インターネット

を通じた講義の方が学習効果が高いと感じています。

通学と通信を組み合わせることにより、学費を抑えることは可能なはずです。

留学もしやすくなるでしょう。

インターンシップも参加しやすくなるでしょう。

アルバイトも容易になり、親の金銭負担も減るでしょう。

世界中にいる一流教授の講義を自宅で受けることも可能でしょう(ボーダレス時代

に数単位しか認定しないとか、ケチはことはやめてほしいものです)。

通信環境が良い今では、通学と通信を合わせた「ハイブリッド大学」が普通になって

も不思議ではないはずです。

2018年問題を目前に控えていますが、学費は高いままです。

倒産した大学はわずかです。

まだまだ競争が足りないと言えます。

FPが判断を誤ると、生徒や保護者はずっと「後遺症」に苦しむかもしれない

日本学生支援機構が、FPを高校に派遣して奨学金について説明をする
制度が始まりますが、「FPよりも詳しい先生は多くいる」というのが、
現場での実感です。

長男長女の学費で苦しみ、乗り越えた経験がある保護者も同じです。

「FPのテキストには載っていない」相談が、現場では多くあります。

母子家庭は珍しくありません。

住宅ローンの返済が滞っていて競売になるかもしれない。

自己破産している。

その他にも、聞くに堪えられない、辛いご相談もあります。

それでも、出せるだけの力を出し、進学に向かってもらわなければ

なりません(私の能力不足を棚に上げて)。

FPはその場だけかもしれませんが、生徒や保護者は、奨学金や教育ローン
と最低でも10年近く付き合ってゆくことになります。

FPが判断を誤ると、生徒や保護者はずっと「後遺症」に苦しむかも
しれないのです。

公務員試験を変えるよりも

教養試験を廃止したり、一発芸や腹筋をさせたりするより、民間企業のように、

「雇用を流動化」させる方が先ではないだろうか?

雇用保険を払わなくてもよい(払う必要がない)環境って、明らかにおかしい。

年収が高い家庭ほど

年収が高くても、奨学金の利用を希望される家庭をよく見かけます。

ネガティブな報道により、奨学金の利用に否定的な方は多くいますが、

年収が高い家庭ほど、利用に前向きなように感じています。

奨学金を利用する方が、「有利」と気付かれているからではないでしょうか?

奨学金の説明会も変化している

奨学金の説明会は、高校3年生の5月に多く開催されます。

予約採用の募集が始まることや、PTA総会と同時に開催できるからです。

しかし、最近では、2年生を対象としたご依頼が多くなっています。

保護者からの要望が主な理由ですが、早期に開催するメリットとして、

例えば、国の教育ローンの審査への対策ができることがあります。

国の教育ローンの審査では、公共料金などの滞納が無いか、通帳の確認が

あります。

そのため、早く開催することにより、滞納に注意するように呼びかける

ことができます。

他にもメリットはありますが、早ければ早いほど、場当たり的にならずに

資金計画を立てやすくなることは確かです。

また、選択肢も増えます。

奨学金の説明会も「対症療法から予防」に変わってきていると感じています。